楽天スーパーロジスティクスとは楽天が提供している商品の入荷作業、保管、発送までの物流業務サービスです。
楽天出店店舗であれば、あす楽対応が可能になったり、RMS上からキャンセル処理ができるなど、様々なメリットもあります。
ただ気になるのは料金体系。
自社発送と比べて、楽天ロジ(RSL)にアウトソーシングすることでどんな違いが出るのか検証していきます。
このページでは楽天ロジスティックスの料金について解説していきます。
楽天スーパーロジスティクスのサービス概要
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は商品の入荷作業、保管、発送作業までを行う楽天市場出店様向けの物流アウトソーシングサービスです。
出典:楽天店舗運営ナビ
上記の図のように商品の入荷から保管、出荷、配送までの業務を365日休みなく運営しているので、店舗サイドは商品企画・販売促進といったコア業務に集中できるメリットがあります。
また、15:29分までに出荷データを送信すれば、当日出荷対応可能なので(一部例外あり)、年末年始・GW・お盆も問題なく土日も出荷対応可能。あす楽対応も可能です。
ギフト対応・要期限管理などにも対応しています。
楽天スーパーロジスティクスの料金体系
リーズナブルな料金で、どの店舗さんにも利用しやすい料金で評判ですが、実際にどのような料金体系になるのか見ていきましょう。
出荷作業費と配送費
・極小サイズ: 長辺:32cm未満、短辺:23cm未満、高さ:2.7cm未満の商品
・小サイズ: 極小サイズに当てはまらない3辺合計100cm未満の商品
・中サイズ: 3辺合計100cm以上、120cm未満の商品
・大サイズ: 3辺合計120cm以上、160cm未満の商品
※記載されている料金はすべて税抜です。
出典:楽天店舗運営ナビ
上記の表から、一般的な送料に比べてかなりリーズナブル料金体系であることが分かります。
また、各サイズの詳細を見ていく前に注目すべきポイントは全国一律料金であることです。
特に楽天市場で39ショップで運営されている店舗さんには日本全国どこでも料金一律で発送できることは非常に大きなメリットです。
それでは、以下サイズ別に順番に検証していきます。
メール便(極小サイズ)の場合
極小サイズ: 長辺:32cm未満、短辺:23cm未満、高さ:2.7cm未満の商品
極小サイズはメール便(ポスト投函)サイズにあたります。
メール便(極小サイズ)の商品を配送する場合
出荷作業費50円(1pcs) + 配送費180円(1pcs)=230円(税抜き)
230円x消費税10%=253円(税込み)
※便宜上在庫保管料なしで計算しています。
メール便(極小サイズ)の場合、1個当たり253円(税込み)で配送できます。これには梱包資材や人件費も含まれているのでかなりリーズナブルなことが分かります。
仮にクリックポストで自社発送した場合には送料 198円(税込)、梱包資材 約30円(税込)(プチプチ封筒など)で約230円、これにラベルシール印刷費用・人件費などがプラスアルファされる計算です。
特にメール便の発送数量が多く、ラベル張りから梱包作業などに時間や人など経営資源をかけている店舗さんにはメリットがありそうです。
価格だけの比較でなく、手間や時間などを考えると業務の省力化が図れる可能性が大きいです。
サイズ的には極小サイズは『長辺:32cm未満、短辺:23cm未満、高さ:2.7cm未満、重さ1kg未満』ですので、ネコポス『大きさ(縦)23cm ~ 31.2cm、大きさ(横)11.5cm ~ 22.8cm、厚さ2.5cm 以内、重さ1kg 以内』と比べると長辺0.8cm、短辺0.2cm、厚み0.2cm余裕があります。
長辺 | 短辺 | 厚み | 重さ | |
楽天ロジメール便 | 32cm未満 | 23cm未満 | 2.7cm未満 | 1kg未満 |
ネコポス | 23 ~ 31.2cm | 11.5 ~ 22.8cm | 2.5cm以内 | 1kg 以内 |
メール便に入るサイズであれば、出荷作業費(ピッキング費用)のみで同梱発送が可能です。メール便だと55円(税込み)の出荷作業費(ピッキング費用)で商品の追加が可能ですので、別々に2個発送するときに比べてリーズナブルに発送できます。
メール便はあす楽対応不可ですので、発送までかかる日数が
12:59までに出荷データを送信⇒当日もしくは翌日発送
12:59以降に出荷データを送信⇒翌日もしくは翌々日発送
になります。
※スーパーSALEなど発送が込み合う時期はさらに遅延することもあります。
ゆうパック(小サイズ)の場合
小サイズ: 極小サイズに当てはまらない3辺合計100cm未満の商品
小サイズは宅急便(ゆうパック)の60~100サイズにあたります。
ゆうパック(小サイズ)の商品を配送する場合
出荷作業費80円(1pcs) + 配送費380円(1pcs)=460円(税抜き)
460円x消費税10%=506円(税込み)
※便宜上在庫保管料なしで計算しています。
小サイズの場合、1個当たり506円(税込み)で配送できます。これには梱包資材や人件費も含まれているのでかなりリーズナブルなことが分かります。
特にこのサイズが多い店舗さんは、大きなメリットが得られる可能性が高いです。
小サイズ作業費のディスカウントについて
1つの注文に2PCS以上の商品が含まれる場合、小サイズの商品に限り、2PCS目以降の出荷作業費を65円/PCSにディスカウントになります。(2022年2月現在)
ゆうパック(中サイズ)の場合
中サイズ: 3辺合計100cm以上、120cm未満の商品
中サイズは宅急便(ゆうパック)の120サイズにあたります。
ゆうパック(中サイズ)の商品を配送する場合
出荷作業費100円(1pcs) + 配送費500円(1pcs)=600円(税抜き)
600円x消費税10%=660円(税込み)
※便宜上在庫保管料なしで計算しています。
中サイズの場合、1個当たり660円(税込み)で配送できます。これには梱包資材や人件費も含まれています。送料的にはリーズナブルですが、このサイズより大きい商品は特に保管料に注意する必要があります。
在庫保管料はサイズが大きくなるほど負担が大きくなりますので中サイズ・大サイズの比率の多い店舗さんは注意しましょう。
ゆうパック(大サイズ)の場合
大サイズ: 3辺合計120cm以上、160cm未満の商品
大サイズは宅急便(ゆうパック)の140~160サイズにあたります。
ゆうパック(大サイズ)の商品を配送する場合
出荷作業費200円(1pcs) + 配送費850円(1pcs)=1,050円(税抜き)
1,050円x消費税10%=1,155円(税込み)
※便宜上在庫保管料なしで計算しています。
大サイズの場合、1個当たり1,155円(税込み)で配送できます。これには梱包資材や人件費も含まれています。このサイズになると、自社発送と比べて大きなメリットは少なくなってきます。保管料も大きくなってきます。
ただ、全国一律同一料金で発送できること、年末年始・GW・お盆も関係なく土日も含めてあす楽対応が可能というメリットはあります。
物流全体をアウトソーシングしたい店舗さんは納品数量を調整しながら、保管料を出来る限り低減させる形で運用することをお勧めします。
出荷作業費と配送費まとめ
以下、大まかに出荷作業費と配送費を表にまとめました。
出荷作業費 | 配送費 | 合計(税抜き) | 合計(税込み) | |
極小サイズ | 50円(1pcs) | 180円 | 230円 | 253円 |
小サイズ | 80円(1pcs) | 380円 | 460円 | 506円 |
中サイズ | 100円(1pcs) | 500円 | 600円 | 660円 |
大サイズ | 200円(1pcs) | 850円 | 1,050円 | 1,155円 |
楽天店舗運営ナビより『出荷作業費の詳細』『配送費の詳細』についてのを添付します。
出荷作業費の詳細
計算例)小サイズの商品5個にかかる作業費は80円×5pcs=400円
※商品を出庫した段階で費用が発生します。
※納品にかかる費用は店舗様負担です。
配送費の詳細
※配送料金は「全国一律価格」です。沖縄・北海道・離島も同一価格です。
※配送料金は梱包資材の費用も含みます。
※配送1箱あたりの料金です。梱包が2箱になった場合は、配送費×2となります。
※ポスト投函サイズに入らない場合は、宅配サイズに切り替えて出荷します。
出典:楽天店舗運営ナビ
在庫保管料
次に在庫保管料について検証していきます。
アマゾンFBA倉庫と違い、長期保管料や期間が長くなるほど保管料が上がるということはありません(2022年2月現在)
ただ、非常に計算がややこしくわかりにくいのが、在庫保管料の計算です。
簡単な例をもとにどのくらいかかるのかを検証していきます。
在庫保管料の詳細
※店舗様の商品が在庫として計上された日から保管費用が発生します。
※1,000cm3あたり7.5円です。最小単位は1cm3から算出します(1cm3=0.0075円/月/PCS)
※費用は日当たりで算出します。
出典:楽天店舗運営ナビ
極小サイズの在庫保管料
在庫保管料=商品体積1,000cm3あたり7.5円/月/PCS
保管料金は【商品体積】【保管期間】【保管数量】で決まります。
メール便(極小サイズ)のMAXの大きさの商品1個を30日保管した場合を計算していきます。
サイズ:32cmx23cmx2.7cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】32cmx23cmx2.7cm=1987.2㎤
【1個当たり保管費用】1987.2㎤x0.0075円/㎤=14.9円
【保管費用】14.9円x1個=14.9円
【消費税10%かけると】14.9円x1.1=16.4円
メール便(極小サイズ)のMAXの大きさの商品1個を30日保管した場合、約16.4円(税込み)かかります。
小サイズの在庫保管料
在庫保管料=商品体積1,000cm3あたり7.5円/月/PCS
小サイズの大きさの商品1個を30日保管した場合を計算していきます。
例1:60サイズ:20cmx20cmx20cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】20cmx20cmx20cm=8,000㎤
【1個当たり保管費用】8,000㎤x0.0075円/㎤=60円
【保管費用】60円x1個=60円
【消費税10%かけると】60円x1.1=66円
例2:60サイズ:40cmx10cmx10cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】40cmx10cmx10cm=4,000㎤
【1個当たり保管費用】4,000㎤x0.0075円/㎤=30円
【保管費用】30円x1個=30円
【消費税10%かけると】30円x1.1=33円
同じ小サイズ(60サイズ)の大きさの商品1個を30日保管した場合でも
60サイズ:20cmx20cmx20cm ⇒66円(税込み)
60サイズ:40cmx10cmx10cm ⇒33円(税込み)
と商品の形状によって保管料に差が出るので注意が必要です。
例3:80サイズ:30cmx30cmx20cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】30cmx30cmx20cm=18,000㎤
【1個当たり保管費用】18,000㎤x0.0075円/㎤=135円
【保管費用】135円x1個=135円
【消費税10%かけると】135円x1.1=148.5円
例4:100サイズ:40cmx30cmx30cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】40cmx30cmx30cm=36,000㎤
【1個当たり保管費用】36,000㎤x0.0075円/㎤=270円
【保管費用】270円x1個=270円
【消費税10%かけると】270円x1.1=297円
まとめますと、以下のようになります。
サイズ | 寸法詳細 | 商品体積 | 保管費用(税込み) |
60サイズ | 20cmx20cmx20cm | 8,000㎤ | 66円 |
60サイズ | 40cmx10cmx10cm | 4,000㎤ | 33円 |
80サイズ | 30cmx30cmx20cm | 18,000㎤ | 147円 |
100サイズ | 40cmx30cmx30cm | 36,000㎤ | 297円 |
小サイズの保管料は約30円から300円までとサイズによって差が大きくなります。特に同サイズでも薄いものと四角いもので保管料に差が出るので注意が必要です。
中サイズの在庫保管料
在庫保管料=商品体積1,000cm3あたり7.5円/月/PCS
中サイズの大きさの商品1個を30日保管した場合を計算していきます。
例1:120サイズ:70cmx30cmx10cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】70cmx30cmx10cm=21,000㎤
【1個当たり保管費用】21,000㎤x0.0075円/㎤=157.5円
【保管費用】157.5円x1個=157.5円
【消費税10%かけると】157.5円x1.1=173.25円
例2:120サイズ:40cmx40cmx40cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】40cmx40cmx40cm=64,000㎤
【1個当たり保管費用】64,000㎤x0.0075円/㎤=480円
【保管費用】480円x1個=480円
【消費税10%かけると】480円x1.1=528円
同じ中サイズ(120サイズ)の大きさの商品1個を30日保管した場合でも
120サイズ:70cmx30cmx10cm ⇒174円(税込み)
120サイズ:40cmx40cmx40cm ⇒528円(税込み)
と商品の形状によって3倍以上保管料に差が出るので注意が必要です。
大サイズの在庫保管料
在庫保管料=商品体積1,000cm3あたり7.5円/月/PCS
中サイズの大きさの商品1個を30日保管した場合を計算していきます。
例1:140サイズ:50cmx50cmx40cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】50cmx50cmx40cm=100,000㎤
【1個当たり保管費用】100,000㎤x0.0075円/㎤=750円
【保管費用】750円x1個=750円
【消費税10%かけると】750円x1.1=825円
例2:160サイズ:60cmx50cmx50cm 保管費用:0.0075円/㎤/月
保管日数:30日 保管数量:1個
計算していきます。
【商品体積】60cmx50cmx50cm=150,000㎤
【1個当たり保管費用】150,000㎤x0.0075円/㎤=1125円
【保管費用】1125円x1個=1125円
【消費税10%かけると】1125円x1.1=1237.5円
大サイズ(140~160サイズ)になると、保管料が月1000円以上になることがあるので、このサイズの関しては在庫数量の管理が重要になってきます。
在庫保管料まとめ
細かな計算が続きましたが以下に各サイズのおおよその1個あたりの保管料(税込み)をまとめました。
サイズ | 寸法詳細 | 商品体積 | 保管費用(税込み) |
極小サイズ(メール便) | 32cmx23cmx2.7cm | 1987.2㎤ | 16円 |
小サイズ(60サイズ) | 20cmx20cmx20cm | 8,000㎤ | 66円 |
小サイズ(80サイズ) | 30cmx30cmx20cm | 18,000㎤ | 147円 |
小サイズ(100サイズ) | 40cmx30cmx30cm | 36,000㎤ | 297円 |
中サイズ(120サイズ) | 40cmx40cmx40cm | 64,000㎤ | 480円 |
大サイズ(140サイズ) | 50cmx50cmx40cm | 100,000㎤ | 750円 |
大サイズ(160サイズ) | 60cmx50cmx50cm | 150,000㎤ | 1237円 |
極小サイズ~小サイズまでは保管料の負担はそれほど大きくありませんが、中・大サイズになると保管料の負担は大きくなります。
極小サイズ~小サイズまでは回転率を把握して、在庫切れしないように調節しながら在庫納品していくことがポイントです。
中・大サイズは可能な限り在庫数量を絞り、北海道・沖縄・離島向けにRSLを利用、その他は自社発送で対応など運用方法を検討する必要があります。
極小サイズ~小サイズまでは保管料の負担はそれほど大きくありませんが、中・大サイズになると保管料の負担は大きくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
効率的に店舗運営をしていくためには経営リソースをどこに集中していくかが重要な課題になってきます。
物流業務のアウトソーシング化は発送業務の負担を大きく減らすことが可能です。
ただ、在庫保管料やピッキング費用など細かな点もしっかり把握して、より効率的な運営をしていくことが重要になっていきます。